サブタイトル

Copyright free.

2014年11月28日金曜日

真空管ギターアンプの、電源/スタンバイ待ち時間に関して

真空管アンプの電源/スタンバイ待ち時間に関しては、諸説が有ります。
特に昨今、インターネットでの情報の氾濫により、いったい何が本当なのか?分からない状況にも有ると思います。

このため、ここで纏めさせていただきたいと思います。

■電源とスタンバイ
電源とスタンバイはそれぞれ、
1.真空管内部の電極が高温になるまで暖める(真空管が動作するように準備する)
2.電極間に高電圧をかける(実際にアンプとして動作する)
ために存在しています。

それぞれ役割が違いますので、順序としては、
・真空管を暖める (電源ON)
・真空管に高電圧をかける (スタンバイON)
・高電圧の供給をやめる (スタンバイOFF)
・暖めるのをやめる (電源OFF)
ということになります。

■電源ON後待ち時間
電源=ONにしてしばらくは、真空管のヒーターが温まるのを待つことになります。

例えばプリ管12AX7のdatasheetには、
warm up time 11 seconds
と記述されています。

一概には言えませんが、より大きなパワー管を暖める(大きな金属製の電極を数100℃で一様に保つ)には、さらに長い時間が必要となります。
しかし、ほとんどの場合は20秒以内で十分です。
USA仕向け(120V)のアンプを日本国内(100V)で使う場合には、真空管を暖める電力が低下してしまうため、この時間がより長く必要になる場合も有ります。
が・・・総じて、
[30秒待てば十分]
と言えます。
何分か待てばより良いわけでも有りませんし、特に何かが起きるわけでも有りません。

■電源OFF時待ち時間
スタンバイをOFFした後に、電源をOFFするまでの時間を気にされる方も居ます。

アンプによっては、スタンバイ+電源を同時にOFFしてしまった場合、内部の電解コンデンサに溜まった電力が、意図しない回路に流れ込み、異音や故障を発生させる場合も有ります。
アンプとしては、高電圧がかかったままの状態で電源を切られるよりは、一度かかった電力を抜いてもらうほうがベターです。

アンプにもよりますが、内部の電解コンデンサに溜まった電力を放出するためには、10-20秒程度かかります。
このため、
[30秒待てば十分]
と言えます。
電源ON,OFFどちらも30秒待てば十分、と考えれば覚え易いのではないでしょうか。

■アンプを暖める、何時間後かに最も良い音がする
真空管アンプ本来の音にこだわり、長時間、電源ONされている方も居ます。

ここで、電力は以下のように計算出来ます。
パワー管EL34のヒーターには6.3V 1.5Aが必要、つまり電力=6.3x1.5=9.45Wとなります。
スタンバイをONにすると、パワーアンプに供給される高電圧=450V、パワー管にアイドル電流(音を出さなくても常に流れている電流)が40mA流れるとすると、電力=450x0.04=18Wとなります。

つまり、電源ONしてさらにスタンバイONした後のほうが、パワー管は計3倍程度の発熱をすることになります。
このため、とれだけ電源ONのまま放置するかよりも、やはりスタンバイON後こそが本番と言えます。

抵抗、コンデンサ、トランス・・・全ての電子部品は温度により特性が変わります。
また、シャーシを含めた真空管アンプ全体の温度が安定するのは、スタンバイONして2時間後程度です。
つまり、本当に熱的に安定させたいならば、SPKの代わりにダミーロードでも用いて、スタンバイをONしておく、またはドライヤーのようなもので強制的に暖めるのが良いのではないでしょうか。(もちろん、そこまでする必要は無いと思います)

■真空管の長寿命化のために
ほとんどの電子部品は、発熱によって寿命が低下します。

このためパワー管においても、むやみに暖めることを美徳とするよりも・・・ファンなどで十分に換気し冷ますことで、安定的かつ寿命を延ばすことが出来ます。

同様に、パワー管近辺の電解コンデンサをアルミホイルで巻く等を行う方も居ます。これは金属が高温になった際に放出する熱エネルギーとして、輻射熱が大きいことによります(赤外線ヒーターと同じ)。
一般的に電解コンデンサは、温度が10℃上がる毎に、寿命は1/2となります。パワー管の直近に有る電解コンデンサへの輻射熱を反射により予防することで、電解コンデンサの寿命を延ばすことが出来ます(人工衛星と同じ)。

2014年9月26日金曜日

真空管プリ+450Wベースアンプ


2013年に製作したベースアンプ。

・オールチューブプリアンプ
・Bright_SW, Deep_SW
・Gin2/Volume2はFoot_SWコントロール
・Dampingコントロール
・PowerAmp入力
・真空管D.I.(初段後/歪み後切り替え)
・450W出力
・2Uラック

Fender Bassman(Silverface)主体として歪み感を重視ということで・・・ただ、スタジオの音出しで色々と改良を重ね、最終的にはAmpeg的なサウンドに寄って行きました。
暖かい歪み、ハリが印象的で、ギターでも格好良い音が出ていました。

2014年9月20日土曜日

Splawn QuickRod Custom

先日完了したSplawn QuickRodのカスタムです。

■ヘッド
・歪み
依頼者の理想とするイメージ、ギター、弾き方を考慮して改造。

・歪み2
また背面にGAIN2, VOLUME2を増設し、フットスイッチで切り替え可能に。

・クリーン
Splawnユーザーで最も多いと思われるのが、クリーンに対する不満です。アリなサウンドですが、Marshall感が強いため、Fender的なサウンドが出しにくい。
初段の片側(12AX7は2回路入り)が使われていなかったので、完全独立で設計的に変更。

上記の歪み、クリーン、に関するGAINノブはすべて、Push/Pull (Pull=Bright)に変更しています。

■キャビネット
理想とするサウンドのために1から設計。12インチ2発。詳細はあまり書けません。

素晴らしいサウンドでした。

CELESTION Vintage30 VS EMINENCE CV-75




CELESTION Vintage30と、そのクローンで今年評判のEMINENCE CV-75を比較しました。

Sensitivity=100 vs 102.2dBの差は残念ながら有りません。聴感でせいぜい1dB。これトータルで有れば、驚異的だったんだけどなぁ。

(ところで100dB+100ワットと、103dB+50Wワットは同じ音量)

とはいえCV-75は、
・今までのEMINENCEの無理なブリティッシュ感が無く、さすがに似てる
・若干音デカい
・ロー、ハイともに詰まった感じは無い(F特的にというよりオープン)
・わずかにEMINENCE感というかアメリカンでパンチーな感じが有る
・Vintage30よりかなり安い
ということで、ブリティッシュ系ではかなり買いだと思います。良くここまで微妙なラインを調整して来たなぁ…と。

ところでEMINENCEがこれ開発してたの、知ってたような知らなかったような…