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アンプの基本


アンプのサウンドは、主に以下で決まります。
おおまかに、構成のようにそもそも違うもの、数値化出来る項目、は支配的な違いとなると言えます。
1.回路構成
2.定数
3.スピーカーとキャビネット
4.真空管かトランジスタか、NFB
5.電圧、トランス、バイアス調整等
6.真空管

■1.回路構成
目的に合った回路構成かどうかで、やれることの限界が有ります。
主にはゲインと、トーン回路の位置(どこで歪むのか)で決まります。
Vintage系のアンプは、トーン回路の後に歪むものが多く、パワー管が歪むまでの大音量を出さないとドライブしないもの、が多いです。一方で、昨今のハイゲインアンプでは、各々でサウンド的に色を付けた真空管の増幅段を数段組んで、歪ませてからトーン回路を通るものが多いです。

■2.定数
抵抗やコンデンサの定数です。
当たり前です。これを見直すことで基本的に変化します。
抵抗やコンデンサの種類でも変わりますし、方向性に合った選定は必要ですが、まずは定数が支配的です。

■3.スピーカーとキャビネット
SPKの特性は、モノによって大きく異なります。
また能率(Efficiency)というものが、音量を決定付ける要素となります。SPKにおけるW(ワッテージ)は、耐入力(何Wまでいけるか)です。例えば能率=97dBのSPKでの100Wアンプの音量と、100dBでの50Wアンプの音量は、同じです。このため「どの程度の音量が欲しいかで、アンプの出力、SPKを逆算する」ことが基本となります。100Wの必要が無いのに100W使うのは無駄ですし、余分にカネがかかります。
キャビネットも重要です。材質の前に、まずサイズ、オープン/クローズ/バスレフ、SPKの位置等が大事です。基本的に、小さくて大音量で良い音、は難しいです。

■4.真空管かトランジスタか、NFB
真空管アンプとトランジスタアンプは、根本的に動作原理が違います。簡単に言えば電流アンプと電圧アンプの違いです。
SPKのインピーダンス(Z)は周波数により大きく異なります、高域と、F0(エフゼロ)という共振点で、高い値となります。エフゼロは、SPKのコーン紙を叩いた時の「ボン、ボン」というあの音の周波数です。
SPKのボイスコイルに流れる電流がコーン紙を動かし、音となる訳ですが、電流アンプではZが高いほど大出力となります。一方で電圧アンプでは、一定の電圧を出しているだけなので、Zが高ければ低出力となります。
どちらの意味でも、サウンドはSPKの影響を受けるのですが、真空管アンプではSPKのZ曲線と同じく、低域がボンボンと共振し、高域がスーっと伸びたようなサウンドとなります。
このSPKの影響を受けにくくするのが、NFB(ネガティブフィードバック)という回路技術です。例えばFenderのTwin ReverbではNFBがかなりかけられており、一方でVOX AC30のようなアンプでは、NFBはかかっていません。NFBをかければかけるほどSPKやトランスの特性の影響を受けにくく、同時にゲインも下がります(例えば50'sのFender Tweed Deluxeでは、NFBはかかっていません)。
ちなみに真空管かトランジスタかで音量が違う、というのは迷信です。詳細は省略しますが、動作原理含め同条件にすれば、同じWに対するSPKからの音量は同じです。動作原理、歪み率、製品の性質(安いものには、トランジスタ、小口径、低能率SPKのものが多い)などから来た概念かとは思います。

■5.電圧、トランス、バイアス調整等
アンプは基本的に、交流電源を用いているため、その電源電圧で大きく特性が異なります。
例えば日本はAC100Vですが、これは場所や時間帯によって、95~105V程度まで大きく異なります。
他にも、80年代以前に代理店を経由して輸入されたFenderやMarshallには、日本仕向けは存在せず、電源=120Vです。この場合、例えばAC120Vで100Wと設計されたアンプは、AC100V駆動だと65W程度しか出ませんし、低電圧駆動のため歪み易くなります。音が違って当たり前ですし、他にどれだけ気を遣っても、本末転倒になります。
パワー管にどれだけアイドリング電流を流すか、を決めるマイナスの電圧を調整することをバイアス調整といいますが、この調整でも出力波形は異なりますし、サウンドは違って来ます。またバイアス調整を必要とするのは固定バイアスという方式のアンプですが、自己バイアスではバイアス調整は不要(あるべきところに落ち着く)で、バイアス方式でも音は違います。

■6.真空管
真空管の種類によって、そもそも数値的な特性が異なるため、これもやはり違って来ます。
同じ型番でも真空管の設計や構造が異なり、サウンドの違いになることは有りますが、真空管のブランドで音の方向性を決定付ける、ようなことは有りません。
それよりもまず、上記の課題を見直すことが先決と思われます。

2014.09.20

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